各紙の比較
読売と産経が日米豪印首脳会談をとりあげた。その他読売が車載用電池、朝日が原発被災地の10年、毎日が東北新社認定取り消し/香港選挙制度改変、産経が日医工業務停止をとりあげた。
日米豪印首脳会談について論調を比較する。日医工業務停止の情報も確認しておく。
日米豪印首脳会談
日米豪印4カ国の首脳がオンライン会合を行い、『新型コロナウイルスワクチンの途上国への供与』や、『海洋安全保障に関する協力』で合意した。共同声明では、『ワクチン支援と気候変動、重要・新興技術という3分野で、作業部会を設置することを打ち出した』(読売)。
読売によると、インドは『世界のワクチンの6割を生産』しており、『日本は、インドへの円借款で生産能力の拡大を図るという』。
今回の会合は、米国主導で行われた。『非同盟を掲げるインドは、首脳会談に慎重だったが、米国の強い要請に応じた』。『バイデン米政権は、4か国の関係をQuad(クアッド)と呼び、インド太平洋政策の軸に据えている』。
中国はQuadを『「対中包囲網だ」として反発している』。読売は、中国が『インドと国境周辺で衝突し、豪州に対しては一方的な報復関税を課した』こと、日本の尖閣諸島付近で領海侵入を繰り返していることを指摘し、『自らの覇権的な行動に問題があることを自覚すべき』と批判した。
産経もおおむね同じ論調だが、中国に関する記述が多い。Quadの『最大の目的は強大な軍事力、経済力を背景に覇権主義を強める中国を抑止すること』と断言し、コロナウイルス対策も『「ワクチン外交」で影響力を強めようとする中国への対抗策』と捉えている。
共同声明には、中国に関すること意外でも『北朝鮮の非核化への関与やミャンマーでの民主主義回復の必要性のほか、日本人拉致問題の即時解決の必要性も盛り込まれた』。
・日医工業務停止
産経によると、『後発医薬品の最大手「日医工」が製造販売した薬剤をめぐり、法令違反があったとして、富山県は同社に対して医薬品医療機器法に基づく業務停止命令を出した』。
法令違反は長期にわたり、『国から承認を受けたのと異なる手順で薬剤を製造するなど、過去約10年にわたって不正を続けていた』とのこと。
具体的には『長期保存の品質を確認する安定性試験や、作用を調べる品質試験で不合格となった商品を廃棄せず、国に認められた手順とは異なる製法で再加工して出荷していた』。
不正は大規模であり、『社内で不合格品を出荷するための会議を開くなど、組織ぐるみで不正を続けていた』。
先日の小林化工による睡眠導入剤混入事件に続いて、今回の日医工による不正も発覚し、後発医薬品に対する信頼は揺らいでいる。
その他の話題まとめ
・車載用電池
読売によると、電気自動車用(EV)の電池に関連した会社が協議会を発足させるとのこと。
『電池は日本が世界をリードしてきた分野』で、『車載用のリチウムイオン電池は2016年に日本企業の世界シェア(市場占有率)が約4割でトップだったが、19年には中国に抜かれて2位となっている』。
今後の課題として、国がEVの『普及目標を明確化し、企業が研究開発などに大規模投資をしやすくすること』や、原材料となる希少金属の調達強化、『次世代電池である「全固体電池」の実用化』などがある。
・その他
朝日は原発被災地における人のつながりとして、地元住民や企業、NPOの声を紹介した。
東北新社は、外資比率20%未満を求める放送法の規定を満たしておらず、衛星放送事業の認定が取り消されることとなった。総務省は認定に当たり、みずから調査をしていなかったという。
Q&A
Q.バイデン米政権は、日米豪印4か国の関係を□と呼び、インド太平洋政策の軸に据えている。
A.Quad(クアッド)
Q.次世代電池である「□」は、エネルギー効率が高いため短時間で充電でき、EVの航続距離が伸びると期待されている。
A.全固体電池
リンク
読売:
日米豪印会談 地域の安定へ首脳合意生かせ : 社説 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)
車載用電池 開発と原材料の確保に全力を : 社説 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)
朝日:
(社説)原発被災地の10年 再出発の歩み、粘り強く:朝日新聞デジタル (asahi.com)
毎日:
社説:東北新社認定取り消し なぜ不正が見逃されたか | 毎日新聞 (mainichi.jp)
社説:香港選挙制度の改変 民主社会押し潰す「愛国」 | 毎日新聞 (mainichi.jp)
産経:
【主張】日医工に業務停止 後発薬の信頼を取り戻せ - 産経ニュース (sankei.com)
【主張】日米豪印首脳会合 対中抑止へ積極的活用を - 産経ニュース (sankei.com)
『』内はリンクからの引用です。