各紙の比較
朝日・産経が川辺川ダムについてとりあげた。その他読売が参院1票の格差訴訟と温室効果ガス削減、朝日が生殖医療、毎日が憲法国民投票法と障害者の高校不合格、産経がアフガン米軍削減をとりあげた。
昨日の毎日も含め、川辺川ダムについて論調を比較する。
川辺川ダム
熊本県の蒲島知事が、川辺川へのダム建設を容認した。蒲島知事は2008年に計画を白紙撤回していたが、今年7月の豪雨災害で多大な被害が出たことを受け、建設容認にかじを切った。
建設されるダムは『普段は水を流しながら洪水時にだけためる「流水型」』(朝日)とした。環境への負荷を抑える狙いがある。
これに対し、朝日・毎日はやや消極的、産経は積極的だ。
朝日はこの間の経緯につき、『国と関係自治体の協議会では、川の流量を増やす河道掘削や堤防かさ上げなどを検討したものの、工期の長さや事業費の巨額さから行き詰まっていた』ことを紹介したうえで、『数年単位で実施できる事業を重ねるという現実的な思考を欠いていなかったか』と苦言を呈した。
また、『今夏の豪雨災害の検証で国は、ダムが完成していれば浸水面積を6割減らせた地域があると推計しつつ、被害を完全には防げなかったと認めた』ことを指摘し、『避難態勢の強化や河川周辺の土地利用の見直しなど、ソフト面の手立て』の必要性を説いた。
毎日は、前述の『浸水範囲を6割減らせた』という推計につき、『従来の「貯留型ダム」を前提にしたもの』であり、『流水型で新たなダムの建設を目指すのなら、算定し直す必要がある』と指摘した。また、『流水型ダムは「環境に優しい」とされるが、従来の計画規模のままなら流水型としては国内最大規模』であり、『川辺川の清流に与える影響は不透明』と注意喚起した。
さらに、『国は、ダムや堤防だけに頼る治水には限界があるという認識に立ち、「流域治水」という新たな考え方への転換を進めている』ことを紹介し、『本来なら、流域治水をどのように進めるかというビジョンを提示するのが先だ』と述べた。
産経は、『知事の方針転換は前進だが、もっと真摯(しんし)な反省は必要だ』として、『12年前の白紙撤回自体への明確な謝罪』を求めた。そのうえで、ダムだけでなく『高台移転などのハード面に加え、避難体制の強化などソフト面の対策』や、住民への情報提供の必要性を訴えた。
Q&A
Q.2020年11月、熊本県の蒲島知事が、川辺川へのダム建設を容認した。蒲島知事は2008年に計画を白紙撤回していたが、同年7月の豪雨災害で多大な被害が出たことを受け、建設容認にかじを切った。建設されるダムは普段は水を流しながら洪水時にだけためる「□」とした。環境への負荷を抑える狙いがある。
A.流水型
Q.国は、ダムや堤防だけに頼る治水には限界があるという認識に立ち、「□」という新たな考え方への転換を進めている。
A.流域治水
リンク
読売:
参院1票の格差 改革の継続を促した最高裁 : 社説 : 読売新聞オンライン
温室ガスゼロ 技術革新の加速が鍵を握る : 社説 : 読売新聞オンライン
朝日:
(社説)生殖医療と法 残る課題、解決に道を:朝日新聞デジタル
毎日:
社説:憲法審と国民投票法 新たな課題出てきている - 毎日新聞
社説:障害者の高校不合格 文科省はまず実態調査を - 毎日新聞
産経: